私たちは沖縄陶器をつくられてる親方にお会いすることができ、
自分たちなりに沖縄の陶器を勉強する時間となりました。
それにはいろんな方法があります。ここで書くのはまず本についてです。
小山富士夫、川喜田半泥子、濱田庄司、河井寛次郎…いろいろな陶芸家の本が存在していますし、
沖縄の本もいろいろあります。民族学者、歴史、写真集、教科書…
その中でも一番頁をめくった本が、「沖縄の陶器」(琉球電信電話公社発行) です。
状態は布貼りハードケースに入った重く豪華な写真図録冊子です。文字デザインは芹沢銈介氏。
松田米司親方が若い頃から破れるほど眺め続け現在でも大事になさっています。
しかし、これは豪華なつくりの本ですが出版本ではありません。
「沖縄の陶器」は昭和47年5月15日、沖縄が日本に返還した記念として琉球電信電話公社が発刊したものです。
これだけの豪華本を制作することも彼らの想いも、初見すぐこれは大きな覚悟なんだと思いました。
新里善福氏による「発刊の言葉」が素晴らしい。
中頁には沖縄陶器に関係の深い濱田庄司氏が選択した圧倒的な琉球陶器の写真が並びます。
陶器の素晴らしさは勿論ですが、私はこの本の存在が素晴らしいと思っています。
どれだけの沖縄の人々がこの本を観て、沖縄文化を心強く誇りと思ってきたことでしょう。
1972年、当時の沖縄ではどういう思いに溢れていたのか。
日本への復帰をどれだけ楽しみにしていた事か。
だけど、結果は当時の希望とは程違く、基地はいまでも沖縄に残されたままです。
時代を勉強するにはあまりにも沖縄は深い島です。簡単なことではありません。
まず映画になるかという以前に、自分がいよいよこの島の事を勉強する時間となった事を光栄に思いました。
自主制作という限られた中でのつくりになるのだけれど、逃げるわけにはいかないと思いました。
映画がこの島の事を勉強する入り口になればもっといい。
それもゴールのひとつだと思ってます。
ドキュメンタリー映画「あめつちの日々」に勿論この本も登場します。
追記
琉球電信電話公社はもう存在しません。各所この本についての問い合わせをしたのですが不明でした。
こういう事ひとつひとつも沖縄の現状なのだと思います。