2020年2月。音楽打ち合わせからしばらくの時間が経った。今日は雨。作家からいくつかのデモ音楽が届いている。いまそれを聴いている。
コロナウィルスで私たちの生活に変化が出てきた。出歩く事を控えたり、新聞テレビのニュースとwebニュースを見比べたりと何かと自分がざわつく。常に心のどこかにドキっとする感覚が漂い、マスクを求めてチラリと薬局を覗く私がいる。かつてこのような経験はあったろうか。きっと21世紀にもなった近代においても、世界の戦地ではこのような非日常の中生活している人たちがいる。私は温暖な冬を過ごしながら、日本で鈍感に生きてきたこれまでの自分を省みている。
作家から届いた音楽を聴いている。さっきまで日常に気を落としつつあった自分の気持ちに変化があった。現実逃避ではない。私たちは常に映画を通して社会とコンタクトをしている。芸術は人間に必要な絶対的要素のひとつなんだと今更ながら確認した。
私たちの向き合っている「長崎の郵便配達」は過去を掘り下げる映画ではない。映画を観終わった人々が劇場から出て、日常に向かって歩く孤独な時間を優しく支えるだろう。
先へ進もう。
次は先日行われた長崎 waranaya fame & cafeの状況を報告します。